1977年7月6日は、立命館中学校高等学校にとって開校以来の記念すべき日でした。
当日は水曜日で暑い日ざしの午後。1学期末考査の最中で、生徒たちはすでに下校を終えていた午後1時半から、約200名の参加者で「全校教育懇談会」という名の教育研究集会が開催されました。
空調設備もない講堂(兼体育館)で細野武男総長、長谷川金市校長の挨拶に続いて、優しい凛とした女性の声が響き渡りました。戦後スタートした立命館中学校・高等学校PTAにおける初の女性会長木本昌子さんの挨拶でした。全国的にもまだ稀な教育研究集会と女性会長。立命館中学校・高等学校PTAの流れは、徐々に変りつつあることを実感させるものでした。
この「全校教育懇談会」は、1971年に父母がそれぞれ抱えている問題や悩みをお互いに出し合って十分に話し合える場を持って欲しいという声から始まった「中学2年PTA教育懇談会」に遡ります。
それが他の学年にも計画されるようになった1974年、父母の声を当時の立命館教職員組合北大路支部が受けとめて、「父母と教育を語る会」を開くことになりました。父母と教職員が共に気兼ねなく話し合えることで好評でした。
そして、1975年には高校2年で「地域別教育懇談会」が開かれるようになりました。ふだんのPTA学級会に出にくい父母(特に父親)にも参加していただくことで、地域的に結びつきの弱かった父母が強いつながりをもち、一人ひとりの父母ではなかなか効果の出ない子どもの指導の面で力になっていこうというものでした。
翌年の1976年には、高校全父母を対象に「子どもを育てる苦労と喜びを話す会」が開かれました。この時の「もっと早く聞いておけば失敗せずにすんだのに」「子どもは集団の中で成長しなければならないということがよくわかった」などの感想のまとめが中高の父母に回覧され、ついに全校での教育懇談会開催へと到りました。
「全校教育懇談会」は卒業生の父母も参加して行われ、中1から高3までの6ヵ年間の学校・家庭での悩み・喜びが語られ、指導のあり方・立命館の教育についても話し合われました。参加者へ深い感動を与え、教師も父母も自ら変革を迫られる場となったのでした。
その後、子育ての悩み・課題も増え、会の形態も変化しながら、2019年度は5月に43回目を終えました。