ごあいさつ

下ノ村 和弘

立命館大学 キャリア教育センター長
理工学部教授
下ノ村 和弘

立命館大学キャリア教育センターの歩みは、1998年の全学インターンシップ教育推進委員会の設置に始まり、インターンシップ教学委員会(2003~2006年度)、キャリア教育推進委員会(2007年度)を経て、2008年度に設置された共通教育推進機構の下にキャリア教育センターを開設し、今日に至っています。キャリア教育科目は、多様な専門性(見方・考え方)を持つ他者と、現実社会の文脈の中において能動的に学びあうことで、「自らの学びを活かして、どのように社会や世界と関わるか」を深く省察することを目的としています。そのため、「何を学ぶか(授業内容)」だけでなく「どのように学ぶか(授業運営)」が重要であるとの考えの下、キャリア発達段階に応じた理論(全学型キャリア教育科目)と実践(産学連携型PBL科目)の両輪で立命館大学独自のキャリア教育を展開して参りました。

2020年度教養教育改革においては、これまでとってきた「学部横断型のクラス編成」「社会での学び」「アクティブ・ラーニング」という基本的な運営方針を堅持しつつ、配当回生や科目概要の見直しを行うとともに、初年次向けキャリア教育科目の拡充を行いました。これにより、大学生のキャリア発達における移行期のうち、これまで注力してきた「大学から社会への移行」「ワークキャリア」だけでなく、「中等教育から高等教育への移行」「ライフキャリア」に関わる支援を充実させることを狙っています。特に、1回生を対象にした新規科目「社会と学ぶ課題解決」では、学部横断チームで「現実社会における創造的課題解決」に取り組むことにより、答えのない現実課題への挑戦(学びの転換)、チーム活動への貢献意欲(対人コミュニケーション/リーダーシップスタイル)、創造的課題解決における専門性の価値(自分の持ち味)などを認識し、今後の大学生活への意欲向上と学部専門における学びを社会的に意味づけていけるような学習機会を提供しています。

今後もキャリア教育センターは、2012年に定めたキャリア教育センターのミッション(基本理念)に基づき、共通教育推進機構を構成する他のセンターとも協働して、学部・研究科の人材育成目的の実現に寄与するとともに、正課のキャリア教育にかかわる課題解決の支援を行っていくという方針をこれからも追求して参ります。

教員紹介

中川 洋子

立命館大学 共通教育推進機構 教授
中川 洋子

広島大学大学院社会科学研究科マネジメント専攻博士課程後期修了[博士(マネジメント)]。聖カタリナ大学社会福祉学部福祉経営学科(専任講師)、同大学人間健康福祉学部健康福祉マネジメント学科(准教授・教授)を経て、2013年度より現職。専門は、キャリア教育、キャリア選択論、組織行動論。

自己紹介

「人は、環境から無条件で影響を受ける受動的な存在ではなく、自ら環境を解釈し自らの認知(ものの捉え方)を変容させることで、関連する行動や環境を変えることができる主体的な存在である(Bandura)。」という考えのもと、大学におけるキャリア教育の実践や研究に取り組んでいます。

教育実践としては、2013年度の着任以来、全学型キャリア教育科目を担当しており、2020年度の教養改革では、「新キャリア教育科目体系」の構築に、これまでの経験(カリキュラム・マネジメントや授業設計)を活かし参画しました。

研究では、現在の大学で行われているキャリア教育・支援プログラムを「リアクティブ(対応的・受動的)」なものから「プロアクティブ(予防的・積極的)」なものに再構築することが、長期的な目標です。そして、そのためにどのようにキャリア教育を提供するかという「組織マネジメント」についても、実践(学内外でのFDやSDを含めて)を基盤に研究しています。

長田 尚子

立命館大学 共通教育推進機構 准教授
長田 尚子

青山学院大学大学院文学研究科教育学専攻博士後期課程修了〔博士(教育学)〕。日本アイ・ビー・エム株式会社、青山学院大学総合研究所(特別研究員・客員研究員)、清泉女学院短期大学国際コミュニケーション科(准教授)等を経て2015年度より現職。専門は、学習科学、キャリア教育、情報デザイン。

自己紹介

大学卒業後、外資系コンピューターメーカーに就職し、システムエンジニアとして、システムの導入管理、人材育成、マーケティングに従事しました。大型機中心の時代から、PCやインターネットの普及へ向かう時期で、ビジネスの在り方が、「システムを売る」という発想から、「お客様の問題解決のために何が提案できるのか」というサービス中心のアプローチへと変化を遂げる中に身を置きました。

その後コンサルタントとして働きながら大学院で認知科学をベースとした学習科学の研究を行い、修了後は、短大教員として情報系・ビジネス系・キャリア教育関係の科目を担当してきました。

私は「考える」ことを大切にしています。自分で考え、何かを生み出し、社会に働きかけるためには、粘り強さと勇気が必要です。授業では正解を求めるのではなく、自ら考え、具体的に動く努力をしましょう。それがキャリアを切り拓くことにつながります。

西山 昭彦

立命館大学 共通教育推進機構 准教授
柿澤 寿信

大阪大学大学院経済学研究科政策・ビジネス専攻博士後期課程修了[博士(応用経済学)]。アンダーセンコンサルティング(現アクセンチュア)、デロイトトーマツコンサルティング、同志社大学商学部(助教)、大阪大学全学教育推進機構(講師、准教授)を経て2023年度より現職。専門は労働経済学、人事の経済学、教育の経済学。

自己紹介

本学の法学部を卒業した後、企業と大学・大学院を行き来するキャリアを歩んでいます。企業では経営コンサルタントとして二つのファームに勤務し、様々な組織の課題解決に携わりました。並行して、大学院では主に労働経済学の研究を志向し、公的機関や企業のデータを用いた実証的な研究に取り組んできました。2014年以降は大学教員にキャリアを転じ、現在に至っています。

現代の社会は刻一刻と複雑化し、それに伴って若い人材に要求されることも高度化しています。大学生の皆さんには、所属する学部・研究科でそれぞれの専門教育を修める傍ら、将来のキャリアについても積極的に目を向けてほしいと考えています。