2024年03⽉09⽇(第3399回)

日本のメディア産業における働き方:少年ジャンプ編集部を事例に

クリエイティブメディア研究センター所長/⽴命館⼤学国際関係学部教授  大山真司

 日本ではマスコミ・コンテンツ業界と呼ばれるクリエイティブ産業では、世界的にジョブ型雇用が定着しており、プロジェクト毎に契約を更新するような極めて流動性が高く、不安定な雇用が常態化しています。同時にそうした「自由」、「自律性」、「柔軟性」が、クリエイティブな創造と直結するという言説が存在します。一方集英社のような日本の伝統的大手メディア企業では、終身雇用、年功序列を特徴とするメンバーシップ型雇用体系が維持されています。しかし、新卒で一括採用され、専門性や情熱とはほぼ無関係に配属されたサラリーマン編集者たちの手によって、少年ジャンプのようなクリエイティブな成功を世界中で収めています。この講演では集英社の就活・配属・異動のプロセスと、ジャンプ配属後の編集者とマンガ家の関係を通して、メディア産業における日本と英米モデルの働き方の違いを考察し、極端な個人化、自律性、柔軟性を提唱し、世界的に受け入れられている英米型のクリエイティブ労働モデルの普遍性について検討します。