2019年8月3日(土)衣笠キャンパスにて、「古代の甘味『あまつら』の復元とその試食」と題した講演および研究報告が行われました。これは、立命館グローバル・イノベーション研究機構(以下、R-GIRO)所属の神松幸弘助教と大学共同利用機関法人人間文化研究機構国文学研究資料館(以下、国文研)所属の入口敦志教授らが2016 年より行っている「料理・調味料の復元と活用に関する研究」の取組の一環として実施されました。

入口教授
神松助教

 あまつらは、飛鳥時代から平安時代にかけての木簡や古典籍に記されている甘味料で、砂糖の普及とともに中世中頃に消滅した幻の甘味料とされています。この度、文献や先行研究を元に、つる性植物や樹木計20種類の樹液を採取し糖分分析を行い、復元に成功しました。
 講演では、国文研 入口教授が「古典籍と科学の出会い」と題し、「あまつら」が登場するいくつかの古典籍を紹介しました。そのうち枕草子では、高価な金属の器に、夏に希少な氷を入れ、その上に「あまつら」をかけるという、3つの貴重品を登場させて「あてなるもの(上品なもの)」と表現していると解説しました。
 研究報告では、R-GIRO 神松助教が「あまつらの再検討 ―文献と化学分析からわかったこと―」をテーマに、樹木ごとの樹液成分の違いやあまつらを復元する過程を紹介しました。約120人の来場者はあまつらをかけたかき氷(注)を試食しながら、熱心に聞き入っていました。高校生の来場者も多く、古典籍に出てくるものが、いま実際に食べられるまでを知り、研究に対する興味・関心が深まった機会となりました。

あまつらの原料候補として分析した 植物種群の一部
復元した古代の甘味料「あまつら」

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