教養科目「Basic Communication Skills」公開授業を実施

 7月18日、全学教養科目B群(国際教養科目)の異文化交流科目区分の一つ「Basic Communication Skills」において、大阪いばらきキャンパス(以下、OIC)で学内向けの公開授業を行いました。受講生は当科目で学んだことを踏まえ、各グループで考えた「OICでの様々な形の交流活動」の計画提案をポスター発表形式で行いました。
 2016年度よりスタートしたこの科目では、多様な文化的背景を持つ学生が交流し、学び合います。学生が、多様性理解の基礎的な知識を身に付けると共に、異文化間コミュニケーションの楽しさを発見し、今後の学習につなげていくことを目標とする多文化共修の正課科目です。
 異なる学部や回生だけではなく、留学生(国際学生)や附属高校生も受講しているこの科目で、学生は考え方や習慣の違いなど文化的多様性を理解することができます。そのうえ、日英両言語を駆使したグループディスカッションを通じ、多文化・多言語環境での発言の仕方や意見の聞き方、話の進め方について学びを深めます。

 授業を担当する村山かなえ講師は、15回の授業を通じて学生の多様な心の変化や気づきがあるそうです。その日々の授業の中で意識していることを村山講師は次のように話します。「学生がお互いに学び合える環境をつくるために、どのような言葉をかけるのが効果的か。心理学者のVygotskyが提唱した発達心理学での概念(発達の最近接領域 Zone of Proximal Development)を参考に、受講学生が一人でできる学びの範囲と、教員からの助けや他の学生との相互による学びの範囲を、注意深く見極めるようにし、他の学生との学びの中で、なるべく学生自らで自分自身の成長に気づけるよう、場合によっては、敢えてあまり教員が話をしないこと。また、英語や日本語の運用能力、コミュニケーション能力を伸ばすだけではなく、他者と関わるなかで自分の強みや弱みを発見し、学生が自分達の行動によって成長できる学びが育まれることを重視すること」

 短期留学生のHERNANDEZ Austin Keith Chichiocoさん(フィリピン出身)は授業の感想について次のように話しました。「日本人学生とコミュニケーションをとることが、ときには文化的な壁を感じることもあり、受講当初はとても難しく感じました。しかし、会話を重ねるうちに、日本人の学生は良いリスナーと気づき、彼らとのコミュニケーションをうまくとることができるようになったと思います」
 総合心理学部1回生の山田実乃梨さんは、今後長期留学を目指しており、コミュニケーション能力を鍛えるため受講を決めたそうです。「最初は他の日本人学生も英語で流暢に話している姿を見て、『話せないこと』がコンプレックスに感じていました。しかし、周りの人に助けてもらって話し続けるうちに、英語で話すこと自体に抵抗がなくなっていました。今後もこのような国際教養科目を積極的に受講し、留学生と交流を続けて、留学の準備を進める予定です」と受講後の意気込みについて語りました。
 TAとして授業のサポートを行う政策科学研究科修士2回生のMAMU Teiba Riongaryさん(ソロモン諸島出身)は、「TAと言うアシスタントする立場で授業に関わっていたが、毎回の授業がとても楽しく刺激的で、自分自身も学ぶことが沢山ありました。自分の所属する研究室には日本人学生があまり多くないため、このTAの経験を通じて、日本のカルチャーをより深く理解することが出来ました」と話しました。
 この公開授業で発表された「OICでの様々な形の交流活動」に関する企画提案は、「学びの立命館モデル」で提唱されている、正課科目での学びから、正課外活動への学びとつながるきっかけの一つとも言えます。
 村山講師は、「これからの受講学生達の学びの更なる進化に期待するとともに、多文化環境での学びに新たに挑戦する学生達を今後も多く迎え入れたい。学生達は、セメスター当初は、互いの違いに戸惑い、自信がなく発言があまりできずに葛藤するが、やがて自分の課題を見つけ、どの学生も自らの意見を言えるようになる。セメスターが終盤になるにつれ、他の学生と生き生きと学び合う姿を授業中に見せる。このことが、この科目での学生達の何よりの学びの成果」であると強調します。加えて、「学生達の真摯な学びと成長に触れ、より充実した内容の多文化共修の授業を展開していきたい」と、授業実践から得られる教員の気付きの大切さを、村山講師は熱く語りました。
 公開授業では、自らで学ぶ姿勢を磨き上げ、多様な文化的背景を持つ他者とともに、日本語や英語だけでなく、なかには中国語や韓国語も飛び交うなど、多言語で互いに学び、成長していく学生達の姿が印象的でした。当科目の受講学生の皆さんの今後の活躍に期待するとともに、これから国際教養科目を履修する学生達の学びにも注目です。

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