2021.05.14 TOPICS

日本近代建築に影響を及ぼした、アントニン・レーモンド。その真相に迫る

 日本の近代建築の中心人物として知られるアントニン・レーモンド。「彼のそばでその仕事を支えた人々へのインタビューを英語でも出版し、世界に伝えたい」と立命館大学グローバル教養学部のHelena Čapková(ヘレナ・チャプコヴァー)准教授が、アントニン・レーモンドにまつわる書籍『日本におけるアントニン・レーモンド1948-1976 知人たちの回想』の内容を日本語・英語で書籍化するプロジェクトを進めています。

 1919年(大正8年)に、近代建築巨匠のひとり、フランク・ロイド・ライトの助手として旧帝国ホテルの設計監理のため来日したアントニン・レーモンド。そこから、レーモンドは日本の建築の発展において数々の多大な影響と功績を残しました。来日して取り組んだ旧帝国ホテルの建築プロジェクトに関しても、メンバーとして高い評判を受け、その後1921年に独立しました。

 「レーモンドは1920年代に日本にモダン建築やモダンリズムを持ち込んだ人物であり、かつ日本の伝統建築にも興味がありました。日本での生活において、現代の国際的モダンリズムと日本の伝統建築の融合し、新しいスタイルを確立。香里ヌヴェール学院の校舎や南山大学なども建築しています」(チャプコヴァー准教授)

 チャプコヴァー准教授は、美術史研究と日本研究を融合させ、日本の近代化と、ヨーロッパやそのほかの国との結びつきについて研究しています。主に1920~30年代の日本において、画家やデザイナー、建築家などの外国人芸術家がどのように日本にやってきて、戦中戦後にどのように仕事を続けたのか。そして彼らがどのように日本人と交流し、作品を創造したのかという点について、問題意識と興味を持っており、レーモンドにまつわる研究も2005年からスタートしました。

 「この本は、レーモンドの周りの人たちへのインタビューを通して、レーモンドが戦後に設計した数々の建築物への思い、人となり、そして仕事に対する姿勢が垣間見える作品です。レーモンドの世界観を多くの方々に知ってもらいたいと思います」とチャプコヴァー准教授。

 1919年の来日から、第二次世界大戦前までの18年間と戦後の26年間のあわせて44年間を日本に滞在し、数々の美しい建物を作り出した建築家の思いや功績に、ぜひ触れてみてはいかがでしょうか。

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