耕作放棄地の増加や若者が農業に参入しにくいことで問題を抱えている日本の農業従事者。そのような課題を抱える日本の農業を変えようと、立命館大学の学生らが中心となって構成する団体「GRow」が、若者と滋賀県内の農家の方々が交流できる企画「ONLINE×FARMERS MARKET」を開催しています。目指しているのは、農家と消費者が気軽に触れ合える環境づくり。6月19日からは、クラウドファンディングを活用して資金調達を進めています。

 GRowは、農家・若者・環境が助け合う、相互型農業を作ることを目的に2020年4月に設立した団体です。2019年の「大津・女性ビジネスプランコンテスト」(※1)でグランプリを獲得したビジネスプラン(※2)をベースに、滋賀県内の農家と生活者をつなぐ取り組みを進めています。

 「ONLINE×FARMERS MARKET」は、学生と農家の方々がオンラインで交流できる場です。コロナ禍における農家の現状を知ることで、自分たちにできることを考え、農家の応援につなげたいという思いで実施しています。イベントでは、滋賀県内の農家の方をゲストにお招きし、オンライン上で農業に対する想いや栽培方法、経営戦略などを直接聞くことができ、参加者らは農業に対する理解を深めるとともに、実際に農家で栽培されている新鮮な野菜類をオンライン上で購入することができ、購入を通じて生産者を応援することができます。次回の「ONLINE×FARMERS MARKET」は、2021年8月を予定しています。

Growメンバーのコメント

吉越萌さん(食マネジメント学部4回生)

 農業ってなんとなくダサい。はじめはそう思っていました。しかし、たまたま農家さんと交流する機会があり、農業って面白い!と思えるようになりました。一番衝撃的だったのは、水口かんぴょう作りをしたときです。10kgはあるんじゃないかという「夕顔」を特注の機械にセットして、電源をオン。1時間見ても見飽きないような美しい工程を経てかんぴょうができあがります。しかもこれが、東海道五十三次の絵にもなるほど昔からあったと思うと、ドキドキが止まりませんでした。
 私は農業について何も知らず偏見をもってダサいと思っていたことに気が付きました。もっと多くの人に私が体験した農業のイメージの変化を味わって欲しい!農業を盛り上げたい!と考えています。まずは「知る」機会を私たちが提供できたら嬉しい。消費者と生産者が手をつなげるような距離になるように、身近なところから挑戦していきます。

坪山智香さん(生命科学部3回生)

 私は、1回生の頃からたくさんの農家さんと交流する機会がありました。そこで人手不足で悩んでいる、重労働で大変な環境で働いている農家さんを間の辺りにしました。「私が何か力になれることはないか?」ということを考え、まずは人手不足の問題を改善するために、農業を学生の身近なものにしよう!と考えました。
 昨年度は「+R校友会未来人財育成奨学金」など大学からの支援もあり、無事に『ONLINE×FARMERS MARKET』を成功させることができました。普段交流することがない農家さんとの交流で「おもしろい!」と感じた参加者が多く、また「農業体験に行きたい!」という声を多くいただきました。
 今年度はそういった声を実現するとともに、「農業っておもしろい!」と思う若者を増やすために『ONLINE×FARMERS MARKET』を継続して開催したいと考えています。
 数年後、私たちの活動で「農業っていいたな」「農業を助けたいな」と思う若者が増え、多くの若者で農業を盛り上げていく環境を作りたいです。

クラウドファンディングページ

(※1)大津・女性ビジネスプランコンテストについて
大津市における女性の起業に向けた気運の醸成および新たなビジネスの創出並びに優れたビジネスプランの発掘から事業化に向けた支援を目的に行われるコンテスト。滋賀県大津市が主催している。

(※2)大津・女性ビジネスプランコンテストでグランプリを獲得したプラン
『農家と農家の卵を繋げるマーケットの作成と持続可能な農地利用制度の確立』
耕作放棄地の増加や若者が農業に参入しにくいことで問題を抱えている日本の農業従事者や農業に興味がある人を対象に、生産者と消費者の距離を縮め、農業に興味がある人と農家を繋ぐことで興味のある人が気軽に農業に参入できる社会を目指したビジネスプラン。このプランによって、耕作放棄地の増加・後継者不足・日本の農業の衰退を解決したいと考えている。

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