2021年8月17日、大阪私立中学校・高等学校理科教育研究会(生物分科会)からの依頼を受け、本学の育てる里山プロジェクト(※)から、代表の田中力・経営学部教授(以下、田中教授)、顧問の天保好博氏とメンバーの高原富佐子氏の3名が講師となり、「茨木の植生」をテーマとした研修会を、同研究会と連携して実施しました。元々、2020年に企画されたものでしたが、新型コロナ禍により延期され、今年も緊急事態宣言の下での開催となり、立命館大学大阪いばらきキャンパスからオンライン配信を行なう形で実施しました。当日は、大阪の私立高校で理科・生物を担当する教員の希望者15名がオンラインで参加され、75分間の講演と30分間のオンライン実習から成る研修会を行ないました。

(※)育てる里山プロジェクトは、市民の方と本学の学生・教職員が共同で、茨木市北部の里山から構成種を採取して、キャンパス内に植栽・再生しようとする取組みです 。

 冒頭、田中教授より、挨拶を兼ねて、プロジェクトの立ち上げから現在までについて、また大学の地域連携の取組について、現在の里山の様子を撮影した動画を交えて紹介いただきました。

Google Earthにより、上空から見た里山エリア 
現在の里山エリアの様子

 第1部では、「茨木北部の植生」をテーマに、講師の天保好博氏(育てる里山プロジェクト・顧問)から江戸時代以降の植生と里山の変遷について、植物の生存戦略(CSR)の視点から、樹木知識の盲点を交えて、わかりやすくご講演いただきました。

講師 天保好博氏
年輪を使った講義の様子

2部の「植物の同定方法」をテーマとした実習では、同じく育てる里山プロジェクトメンバーの高原富佐子氏により、実際にキャンパスの里山エリア内の樹木の中から選定された10種をとりあげ、樹木の同定を行ないました。実際の葉を用いて、葉の構造やつき方、葉縁や葉脈といった特徴をオンライン上の画面で確認をしながら実習を行ないました。


 

210824_1046_大阪私立中学校高等学校理科教育研究会 210824-1008-1          210824_1046_大阪私立中学校高等学校理科教育研究会 210824-1008-2

              樹木同定の様子①                        樹木同定の様子②

 

当日ご参加いただいた高校の先生方からは、「教科書に載っていない、生きた内容を学ぶ機会となり参加出来て良かった」、「授業で今後取り扱う菌根菌の話が聞けて良かった。また植物CSRモデルは生物の生存戦略への関心が搔き立てられる内容で良かった」などのコメントをいただきました。

 

また今回、研修会の受け入れにあたりコーディネートされた田中教授からも新型コロナ禍下における初めての試みについてコメントをいただきました。

 

「緊急事態宣言下で、二年越しの企画となりました。無事、実施できて安堵しています。OIC緑化の企画段階から、2013年に発足したプロジェクトですが、枯死の危機を乗り越えて育ちつつある里山エリアを見るにつけ、ボランティアで支えてくださった、茨木市民や地元の高校生、本学学生・教職員のみなさまには、ただただ感謝です。いま、里山エリアは、散策や昆虫採集など、憩いの場、自然観察の場として近隣の皆様にも安心して利用できる「茨木新名所」として親しんでいただいています。小中高校生や大学生たちにも、里山の樹木や草花、昆虫を実際に観察していただき、地域の学校の理科教育に活用していただければと思います。今回はオンライン形式での実施でしたが、かえって、動画配信やウェブ講座など新しい情報発信の形が見えてきたように思いました。」

 

今後とも立命館大学では、地域社会連携を通じた教育・研究活動の取り組みを積極的に推進してまいります。

 

 

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