文学部 河原典史教授の著書「カナダにおける日本人水産移民の歴史地理学研究」(古今書院)が、2021年の地域漁業学会において 学会賞を受賞しました。

 同書は、カナダへの日本人移民について、「水産」という視座から、地理学的手法を着実に踏まえるとともに、ライフヒストリーの検討など、斬新な視点を取り入れて考察している諸点に、研究の独自性が大いに認められることが評価され、今回の受賞となりました。

・地域漁業学会について
1959年に「西日本漁業経済学会」として発足。「地域性・学際性・国際性」を学会活動の柱にすえ、多岐にわたる専門分野を持つ会員により、多角的・学際的な議論が進められています。漁業・水産業に関する人文・社会系の学会では、日本でもっとも活発な学会活動を行っています。

河原典史教授のコメント

 拙著では、漁業のみならず、造船業をはじめとする関連産業を含めた「水産」という視座から日本人移民史を再検討しました。具体的には、サケ缶詰産業をめぐる事例や、イギリス系カナダ人の経営する捕鯨業に雇用される事例、独占的に従事した塩ニシン製造業の事例を取りあげました。さらにバンクーバー島における日本人による漁村開拓の分析も行ないました。日本語新聞『大陸日報』、Fire Insurance Plan(火災保険図)、BC Directory(ブリティッシュ・コロンビア州住所氏名録)などの資料への歴史地理学的なアプローチから、複数の民族・出身国による国際的な分業システムが構築されていたことを考察しました。そして、日本人水産移民が、このシステムに組み込まれまがらも活躍していたことを解き明かしました。今後は、水産業へ転入した鉄道契約移民、そして水産業から転出したガーディナー(庭師)も検討し、総合的なカナダ日本人移民史を編みたいと思います。

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