日中韓キャンパスアジア・プログラム(2)  学生座談会

密度の濃い4年間を過ごしたい
3大学をつないでのキックオフの様子
新しいプログラムがスタート

 立命館大学は、数多くの海外研修プログラムを実施しています。そのなかのひとつ、パイロット版(平成23年度大学の世界展開力強化事業)を経て2016年4月から常設化となった文学部の「日中韓キャンパスアジア・プログラム」(以下、CAP)について紹介します。第2回目の今回は、常設化1期生(いずれも文学部1回生)の山原萌さん、市川尭尭さん、岩田さくらさん、松本泰晟さんに応募のきっかけや目標、プログラムを通じてどう成長したいかなどについて語っていただきました。それぞれの“キャンパスアジア”に対する思いとは……。

CAPとの出会いや思いはさまざま

それぞれの夢を叶えるプログラム
市川尭尭さん (文学部1回生・東アジア研究学域 兵庫県立小野高校出身)
松本泰晟さん (文学部1回生・東アジア研究学域 長崎県立壱岐高校出身)

Q CAPを知ったきっかけ、応募に至るまでの経緯などについて教えてください
松本 高校時代はずっと上海の大学に進もうと思っていましたが、高校3年生の夏休み前に先生からCAPのことを聞き、いろいろ調べるようになりました。1年目に事前学習として日本の歴史を含めた基礎知識や語学力などを高めたうえで中国、韓国に留学できる点に魅力を感じました。
山原 高校3年の春に先生からCAPやAO入試のことを聞いたのが最初です。高校では国際教養科で学んでおり、ユネスコ部の活動(国際交流やボランティアなど)やK-POPなどを通じて興味を持つようになった韓国や中国に留学できる “私にぴったりなプログラム”だと思い、そこから準備を進め、AO入試で受験しました。
市川 私は母親が中国籍で小学校5年生まで中国(吉林省)の祖母の元で暮らしていました。母からもらった『論語』を読むうちに儒学に興味を持つようになり、日本、中国、韓国と儒学の関係を深く知りたいと考え、中国と韓国の両方に留学ができる大学を探していました。なかなか見つからず諦めかけていた高3の5月頃に先生から教えていただいたのが本プログラムです。現地の学生と共に学び交流を深められるので“楽しそう”というのと、勉強が“大変そう”というのが第一印象でした。
岩田 8月のオープンキャンパスに参加してCAPのことを知り、“行きたいな~”と思いました。中国語・朝鮮語共に勉強したことがなかったので、AO入試は“私には場違い”だと。でも、入学後に学生募集があることを知り、“ここで受けなかったらきっと後悔する”と思いチャレンジしました。

Q そもそもなぜ中国や韓国など東アジアに興味を持ちましたか?
松本 中学時代に中国から転校生が来たことがきっかけで、高校は中国語が学べる壱岐高校に離島留学しました。長期休暇中に研修などで中国に行き、テレビや新聞などの報道とは異なる現地の方々の親切な対応に触れ、自らの視野の狭さ、見識の浅さを身に沁みて感じました。そうした経験を踏まえ、中国語を学ぶだけでなく、文化的な違いなどを乗り越え、相手の立場を尊重しながら交流を深めたいと考えるようになりました。
岩田 高校時代にフィンランドに1年間留学していた際、現地でアジアから来ている生徒と仲良くなり、考え方や習慣などが違うことに触れ、興味を持つようになりました。私は何かあると口癖のように「ごめん」と言ってしまうのですが、中国の友達に、「失敗したり悪いことをしていないのにすぐに謝るのは日本人の悪い癖」と指摘され、文化・習慣の違いをうまく説明できなかったことが発奮材料になっています。
山原 高校時代、日本で開かれたESD(「持続可能な開発のための教育」・Education for Sustainable Developmentの略)の国際会議の運営に関わり、海外ゲストのアテンドをした際、各国の参加者の習慣の違いを強く感じました。しかし、それを認め合うことで友好的な関係を築けることにも気付きました。そこで学んだのが“違いを認めること”と、その場を取り繕うのではなく“未来のことを考えて行動することの大切さ”です。特にアジアの学生とは近隣諸国にも関わらず常識や意見の違いがあり、それが生まれる理由、それを3カ国の人々がどうすれば認め合っていけるのかを知りたくて、直接行ってみたいと思うようになりました。
市川 国際線(アジア路線)のキャビンアテンダント(CA)になることが夢なので、それを叶えるためにも東アジアのことを学ぶのは必須だと考えました。小学校の時、中国から日本にくる際の機内でお世話になったCAさんに憧れ、目指すようになりました。

国境を越えたコミュニケーション

自らのローカリティを極め、相手の立場からものを考えられる人材へ
岩田さくらさん (文学部1回生・国際文化学域  愛知県・私立大成高校出身)
山原萌さん  (文学部1回生・東アジア研究学域 大阪府立佐野高校出身)

Q CAPへの期待や意気込み、共に学ぶ学生たちの今を教えてください
山原 3回生では国際インターンシップがあるので、今から期待している学生もいます。現地での共同生活を通じ、中国や韓国の学生の考え方を肌で感じたい、それが一番楽しみです。朝鮮語の経験はあるもののまだまだで不安だらけですが、現地のことを知り尽くしたいと思います。
岩田 私は中国語も朝鮮語も学んだことがなく、CAPに参加している半数は同じような学生です。私はどちらかというと朝鮮語の方が難しいと感じていますが、他の友だちは中国語の方が難しいと言ってます。スタートラインは違いますが、みんなについて行けるよう頑張ります。
松本 CAPの仲間は、いい意味で個性的です。北海道から九州まで全国から集まっているので、日本のメンバーのなかでも、いろいろな文化に出会えます。高校時代に中国を訪れた際、中国の学生が日本の歴史について雄弁に話すの見て、歯がゆい思いをしました。各国に認識の違いなどはあるにせよ、留学する前に日本の歴史や文化を十分に学び、自分の考えをしっかり持っておきたいです。
市川 みんな真面目で、昼休みに一緒に中国語を勉強することも。留学先の広州は、母と話す中国語の発音とも異なり、またマナーも地域によって違うので不安はあります。中国から日本の小学校に転校した際も、文化や言葉の壁に悩んだこともありました。本やテキストなどには書いてない、現地での生の学びに期待します。

Q CAPを通じどう成長したいか、将来の夢や目標などについてお聞かせください
岩田 高校時代の留学で思ったのが、その国の歴史や文化を学ぶには何より現地で生活することが一番だということ。日本の歴史や文化についても相手にしっかり説明できるようになり、そのうえで3カ国を結ぶ架け橋の役割が果たせる人材になれればと思っています。いろいろ学んだうえで、フィンランドにも、もう一度行きたいかな?
市川 それぞれの国の歴史や文化の学びを深めたうえで、“おもてなし”のできるCAになりたいと思っています。
松本 国際的な交流や交渉の舞台で活躍する通訳者に憧れています。CAPの活動のなかでも通訳をするチャンスがあれば、積極的に挑戦したいです。現地でしか学べないことがいくつもあると思うので、それらを吸収し成長できればと思います。
山原 卒業後は、報道関係の仕事に就きたいと考えています。ニュースなども伝え方次第で受け取る側の印象も随分と変わるので、世界的視野に立った客観的な情報を提供できる人材にたりたいと思います。3カ国の関係は必ずしも良好とはいえません。CAPの学びを通じ、少しでも真実を見極める力を養い、将来に役立てられればと思います。

★日中韓キャンパスアジア・プログラム(1)
多国間連携型高等教育モデルの新しい形(Campus Asia)
https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=249
★“東アジア”という新しいアイデンティティの芽生え
https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=267

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