B群の授業風景

国際教養科目(教養科目B群) 立命館大学 教養教育センター長 瀧本和成 文学部教授<第1回>

2016年度から新しく生まれ変わった国際教養科目

 立命館大学には、「知性を身に付け、境界を超え、ともに学ぶ」ことを重要視し、「専門的な素養」と「Borderを超えて主体的に学ぶ力」を身に付けることを目指す「学びの立命館モデル」があります。各学部における専門的な学びに止まらず、学部の壁・教室の壁・キャンパスの壁・正課と課外の壁などを超えた幅広い学びを通じ、これまで常識だと思っていたこと、あるいは「思考の枠組み(境界)」を超える視点を獲得することができるのがポイントとなります。そのような学びの場を提供している科目群の1つが、2016年度から新しく生まれ変わった国際教養科目(以下、B群)です。ここではA~Eの5つの科目群からなる教養科目のなかでも、英語をはじめ中国語やドイツ語など外国語を授業言語とする科目やオンキャンパスで異文化環境で学べる科目などによって構成されるB群の学びの特長などについて、教養教育センター長の瀧本和成文学部教授にお話をうかがいました。

外国語を使って異文化間コミュニケーション

学部、基礎教育の枠を超え、外国語で専門テーマを学ぶ
授業は少人数制の演習形式
授業は少人数制の演習形式 
学部や回生、出身国・地域などもさまざま
学部や回生、出身国・地域などもさまざま

―新B群が生まれた経緯は?
 各学部において磨いた専門性をグローバル社会で発揮するためには高い異文化理解、国際性が求められます。B群はそうした力を養う、または結び付ける基礎となる科目群となります。
 新しいカリキュラムになる前には、留学生を対象とした科目や海外留学プログラム科目が中心でした。2012年度以降に国際関係学部の協力により英語で授業を行う「Introduction to Law」など14科目を他学部生が教養科目として受講できるようになりました。しかし、比較的高い語学力が必要で、また、衣笠キャンパスのみの開講だったため、全学の学生の期待に応えるには十分とは言えませんでした。
 高等教育の国際化・グローバル化が叫ばれるなか、本学には3000人を超える留学生が学び、多くの国内学生が留学などを含め海外プログラムに取り組んでいます。そうした背景を踏まえB群を異文化間コミュニケーションを実践しながら学ぶ基礎科目と位置付けると共に、これまでの課題を解消し立命館大学の特色を生かした国際教養科目として打ち出せる科目を充実させました。

―各科目区分の特長などを教えてください
 B群の特長のひとつに学生の語学レベルや学びの到達度に応じてステップアップできるよう4段階(①異文化に触れる②異文化を考える③異文化理解を深める④異文化間で交流する)に位置付け体系的に科目を配置している点があります。一定の語学力が必要となる科目もある一方で、異文化交流やグローバル社会において他者とコミュニケーションできる力を身に付けることを重視している科目など、語学力や国際的な学びの経験の段階・程度に応じた科目が受講できるような科目構成となっています。また、学生が各科目の位置付けを理解し、それぞれの目標や学習目的に応じた科目を選びやすいように国際教養、異文化交流、海外留学の3つの科目区分を設定しました。
 国際教養科目区分で特徴的なのが「Theme Study」です。教員の研究分野や専門性を生かしたテーマについて外国語で学ぶ少人数の演習科目で、2016年度のテーマには「Issues in Japanese Politics in Comparative Perspective」(英語)「日韓関係の過去・現在・未来」(朝鮮語)「動画でわかるドイツ歴史・文化」(ドイツ語)などがあります。
 異文化交流科目区分は、短期留学生や正規留学生にも積極的に受講してもらえるような科目となっており、キャンパスに居ながらにして多様な背景を持った学生たちが集い、異文化間コミュニケーションのもと学び合うことができます。
 海外留学科目区分では、長期留学を目指す学生を対象に限定的に開講されてきた英語力やアカデミック・スキルを育てる「グローバル・ゲイトウェイプログラム(GGP)」の実績を踏まえ、半年から1年間の海外留学を目指す学生や既に派遣が決定している学生の支援となる科目をレベルや目的に合わせて用意しています。
 いずれも英語だけではなく、本学で学べるアジアの言語(中国語や朝鮮語)やヨーロッパの言語(ドイツ語など)を授業言語とするクラスもあり、母語で学びたいという留学生はもちろん、幅広い言語で学びたい、世界の学生と触れ合いたいという日本の学生を含め双方のニーズや関心に応えるものとなっています。このように学部や回生、国内学生・留学生といったさまざまな学生たちが1つのクラスに集い、学び合えるのは総合大学、教養科目ならではの利点ではないでしょうか。

国際性と専門性をリンク、そのベースを担う国際教養科目

立命館ならではの強みを生かした学び
教養教育センター長の瀧本和成文学部教授
教養教育センター長の瀧本和成文学部教授
語学や異文化交流に苦手意識があっても大丈夫
語学や異文化交流に苦手意識があっても大丈夫

―今後の展開・展望について教えてください
 専門性と国際性がつながってこそグローバルで活躍できる力となります。その役割を担っているのが教養科目であり、B群の大きな使命だと思っています。また、留学生にとっても立命館で学んで良かったと思ってもらえるような科目にすることが重要で、そうなることで学生同士が互いに刺激し合い、相互理解につながっていくと考えます。
 B群を受け持つ教員側でも、授業改善に向けた会議を定期的に開き、学部・キャンパスの枠を超え、共通認識・共通理解を深めながら進めています。2017年度からは情報理工学部や経済学部の協力により、さらに科目が充実します。今後も3キャンパス・14学部からなる立命館大学ならではの強みを生かし、専門性を高める学部での学びと相互に作用することで、学生のさらなる成長につながる教養科目として展開していきたいと思っています。

第2回https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=309
第3回https://www.ritsumei.ac.jp/news/detail/?id=332

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