障害学生支援室の10年 そしてこれからの支援室

10年目の障害学生支援室

 立命館大学は、今から10年前の2006年、障害学生支援室を開設しました。10年目を迎えた今、障害者差別解消法が施行されるなど、社会的にも障害を取り巻く状況は大きく変わりつつあります。
 こうしたことを背景に、障害学生支援室では障害のある学生にとって学びやすい授業を提案する冊子『大学と障害学生』の作成や、障害者差別解消法の合理的配慮をテーマにしたシンポジウムの開催など、学内外に向け広く発信してきました。

冊子『大学と障害学生』の発行と10周年記念シンポジウムの開催

10周年記念シンポジウム
10周年記念シンポジウム
パネルディスカッション
パネルディスカッション

 2016年3月に発行した教員向けのFD(授業改善提案)冊子『大学と障害学生 ~学生たちが考え、書き綴った、障害学生をめぐる大学のいま~』では、障害学生や学生サポートスタッフが自ら作成したことによって、学内外の多くの人に障害学生らの「生の声」を届けることができました。
 作成のきっかけとなったのは、学生たちがパソコンテイクや移動介助といった普段のサポートを通じて、自分たちだけでは解決しきれない課題があると気付き、周りにいる教職員や学生の協力が不可欠であると考えたこと。冊子には、「どんなことで困り、不利益を被るかは、その人の障害種別や程度だけで決まるわけではない」「環境や、周りにどんな人がいるかによっても左右される。どうすれば解決できるかを一緒に考えていく文化や、コミュニケーションのスタイルを普及させる方が、より本質的に重要」といった言葉を記しています。

 2016年12月には、障害学生への合理的配慮をテーマにした10周年記念シンポジウム「『意思の表明』から始まる合理的配慮を考える」を開催しました。同年4月には、障害者差別解消法が施行され、大学には障害を理由とした差別の禁止と「合理的配慮」の提供が求められることになりました。本学でも多くの障害学生が学んでいますが、昨今、大学での学びの多様化に伴って、こうした障害学生が直面する困りごとも多様化しています。シンポジウムでは、これまで障害学生支援において取り組んできた「ピア・サポート」や「対話」の重要性に改めて注目しながら、パネルディスカッションを行いました。

これからの障害学生支援

大学と障害学生
大学と障害学生
10周年記念冊子
10周年記念冊子

 こうした様々な取り組みを経て、2017年3月に障害学生支援室10周年を記念した冊子を発行しました。この冊子では、障害に関わる社会状況がここ10年で大きく変わるなか、障害学生への支援において今も昔も変わらない大切なことを述べています。それは、配慮をする方もされる方も、まずはお互いの話に丁寧に耳を傾け、そこから対話を重ねていくプロセスが重要であるということです。これからも障害学生支援室では、学生の「主体性」を大切にしながら、双方にとって建設的な対話が実現するよう環境づくりを進めていきます。

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