薬学研究科博士課程3年生の坂本 凌さんがInternational Congress on Nutrition and Integrative Medicine (ICNIM)の「Young Investigator Award 2017」を受賞
このたび、薬学研究科博士課程3年生の坂本 凌さんが、統合医療機能性食品国際学会の第25年会であるICNIM2017(2017年7月8日札幌開催)において、Young Investigator Award 2017を受賞しました。
この学会は統合医療及び機能性食品に関する研究を通じて、疾病の予防・治療の進歩に貢献することを目的として設立されたもので、年会中の多数の発表者の中で、特に優れた研究報告をしたと認められる研究者1名にYoung Investigator Award 2017が贈呈されます。
坂本さんは、細胞のがん化に伴い一般的に過剰発現し、がん細胞の悪性転移に関わることが知られる膜結合型チロシンキナーゼ受容体に注目し、乳がん細胞を例にとり、同受容体分子の発現制御を通じた新規ながん治療の可能性を検討してきました。その結果、チロシンキナーゼ受容体遺伝子の逆鎖から発現する内在性のアンチセンスRNAが、同遺伝子の発現を転写後性に制御することを見出すとともに、Lentinula edodesの菌糸抽出物に由来するActive Hexose Correlated Compound (AHCC)が、この内在性アンチセンスRNAの発現を抑制することにより、チロシンキナーゼ遺伝子mRNAの発現並びに乳がん細胞の増殖をともに抑制することを明らかにしました。
この研究は、内在性のアンチセンスRNAの発現制御が乳がん細胞をはじめとする各種のがん細胞の増殖抑制に直結する可能性を示しており、AHCCをはじめとし、内在性アンチセンスRNAの発現抑制効果を示す化合物を標的とする新規ながん治療薬の創薬研究が期待されます。