フィリピン国内レストランの食品衛生状態を評価するオンラインシステムを開発

2019.01.30 NEWS

テクノロジー・マネジメント研究科 児玉耕太准教授らのグループが フィリピン国内レストランの食品衛生状態を評価するオンラインシステムを開発

 テクノロジー・マネジメント研究科の児玉耕太准教授と同研究科博士課程後期課程2回生のMohamed Faridさんは、「フィリピン食品安全衛生アカデミー」(フィリピン政府保健省の委託を受けて食品安全性試験検査システムの開発等を行う団体)のWessam Atif氏(同アカデミー食品安全教育責任者、医師)との国際共同研究により、フィリピン国内のレストラン食品衛生に関するオンライン評価システム「EatSafe」(https://www.eatsafe.ph/)を開発し、調査を開始することとなりました。本研究は、国際的な科学誌である『Global Journal of Health Science』に掲載されました(2019年1月23日付けオンライン版)。

 世界保健機関(WHO)によると、世界で毎年17億人が下痢性疾患を発症し、5歳以下の児童76万人が下痢により死亡しています。特にアフリカ・東南アジア地域の発展途上国では下痢は主な死因の1つとなっており、フィリピンでは、2015年には日本国内の10倍以上の急性血性下痢症(ABD)が報告されています。同国ではさらに、830例のA型肝炎症例と74例の麻痺性貝中毒も報告されており、不衛生が原因と思われる下痢性疾患が深刻な状況となっています。

 児玉准教授らのグループは、この社会課題に対して、フィリピンで食中毒の危険の削減に貢献するオンライン評価システム「EatSafe」を開発しました。消費者はEatSafeを通じて、フィリピン国内の全レストランの食品衛生についてのレビューをオンラインで追加し、直接、自治体の担当者にレストランの衛生違反を報告することができます。EatSafeは、国際的な食品安全基準の遵守のレベルに基づき、消費者が主導して食品衛生基準を強化するプラットフォームとなります。

 フィリピンではインターネット普及率が63%と比較的高いことから、EatSafeは同国の食品安全と公衆衛生において消費者が果たす役割を高め、安全な食品需要への関与を深めることに寄与します。加えて、レストランや飲食業界が基本的な食品衛生要件を満たすことにもつながります。EatSafeは公衆衛生に関する課題に対応する可能性を大きく秘めており、今後、同国以外のさまざまな地域や国での実装も視野に入ります。

EatSafe紹介動画(英語字幕)

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