12月17日(木)、本学客員教授である反畑誠一先生(音楽評論家)の企画において、亀田誠治氏による特別講義「ソーシャルディスタンス時代のエンターテインメントを考える」がオンラインで開催されました。
 亀田氏は、椎名林檎、平井堅、スピッツ、GLAY、いきものがかり、JUJU、Creepy Nuts、山本彩など多くのアーティストをプロデュースした音楽プロデューサーで、東京事変のベーシストとしても活躍され、2007・2015年には日本レコード大賞で「編曲賞」を受賞されています。
 今回の特別講義は約150名の学生が参加し、学生からの質問に回答するコミュニケーション形式を重視して行われました。

亀田誠治氏
受講する学生たち

今後の音楽ライブに関する質問について

 学生から最も多く集まった質問は、今後の音楽LIVEのあり方についてでした。
亀田氏は「オンラインLIVEの質は、VRなどの最新技術の導入や演出力の向上によって、この数カ月でめざましい成長を見せている。今後、ミュージックビデオ制作や有観客LIVEへ活用できる可能性を秘めている」と語りました。
 また、アーティストならびに音楽業界が安全な有観客LIVEをどのように確立していくかという点について、実例を交えながら説明されました。そして、「アーティストなど有観客LIVEの主催者側が感染症対策を徹底するのはもちろん、観客の皆さんも一緒になって感染症対策を徹底してもらい、有観客LIVEをつくりあげる1人になってほしい。そうした一人ひとりの行動が、安全な有観客LIVEにつながり、その積み重ねが少しずつアーティスト、音楽業界全体を盛り上げることにつながる」と述べられました。
 また、「有観客LIVEの魅力はなんといっても、演奏の音圧を味わい、アーティスト、ファンがその場で一体感を共有できること。どんなにオンラインLIVEが発達しても、人の心を動かし続けてきた有観客LIVEはなくならない。ただ、オンラインLIVEか有観客LIVEかという二元論で語るのはもったいない。それぞれの良い点と課題点が見えてきた今、これを調和させていくことで、音楽はもっと進化していけると思う」と希望を語りました。

コロナ禍での音楽制作に関する質問について

 亀田氏からは「レコーディングをはじめとした音楽制作は、多くのスタッフとの何気ない会話を含めた、対話の中で成り立っている。オンラインではスタッフとのコミュニケーションをとることが予想以上に大変です」と苦労を語りました。また、アーティストの中には、オンラインを使いこなすことが難しい人もいることを語ったうえで、「周りを見渡し、多くのミュージシャンに仕事が回るよう、オンラインを使いながら、感染防止を徹底してスタジオでの音楽制作も行っている」と語りました。

SDGSと音楽の関係について

 亀田氏は「音楽とSDGsの親和性は大いにあると感じている。人と人をつなぐ音楽が、SDGsにある17の目標を分かりやすく伝えられる力をもっていると思う。近年、音楽イベントを通して、SDGsの重要性を発信する取り組みが増えてきた。私が主催しているフリーイベント『日比谷音楽祭』も、SDGsの視点を取り入れている。そして、音楽は何よりも、人に生きる希望を与え、人と人とのハーモニーを醸成し、人間性を涵養する力がある。それはSDGsを推進しようとするヒトを育てることにつながっていると思う。」と語りました。

その他

 その他、学生から多くの質問が寄せられ、授業終了後も亀田氏に質問し、交流する学生が数多くいました。最後に亀田氏から、「苦しいことも多いと思うけれど、その苦しさの向こうに光が見えることがある。それでも、どうしても無理なことがあれば、少し休憩してから、もう一度挑戦してみてください。また、一人でできないことでも、周りの人の助けで、前に進めることもあります。いろいろな人と関わりながら、自分というオリジナリティを磨き続けて下さい」と学生にエールを送りました。

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