2023年4月25日 立命館大学教学部

 近年、急速にAI技術が進化したことにより、多くの業種・業界において人工知能を活用した様々なサービスや事業が展開されています。AIの活用は、教育の世界においても無縁ではなく、既に教育・学修の様々な場面でその成果を活用した教育実践が行われています。
 立命館大学では、学園の中期計画である「学園ビジョンR2030チャレンジ・デザイン」が2021年度から始動し、次世代研究大学の実現と創発性人材の育成を政策目標に掲げ、教育・研究活動のDXプラットフォームの構築を目指しています。教育・研究DXを組織的に推進し、チャレンジ・デザインの具体化を推し進める中で、既にテクノロジーを駆使した様々な教育実践やプロジェクトが行われています。その中にはニューラル機械翻訳など生成系AIの活用も含まれています。新しいテクノロジーの可能性と限界性、あるいは功罪を見極めながら、教育研究機関である大学には、教育における探究力の向上と研究の発展に寄与する適切な利活用の方法を積極的に模索することが求められていると考えています。
 テクノロジーの進展が加速度的に進む今日において、創出される新しいテクノロジーはメリットとデメリットが表裏一体となっており、どちらか一方のみを選択的に享受あるいは排除することはできません。したがって、生成系AIについても、教育・研究の健全な発展に向けて活用していくには、利用する側がそれらの特性を十分に理解したうえで、適切に対応できるリテラシーが求められます。現状においては、個人情報の漏洩や意図せぬプライバシーの侵害、学修プロセスが阻害される危険性もあり、それらは大学としても防がなければなりません。
 大学は学問を追究し真理を探究する場です。様々な情報に溢れた社会において、何を学び・研究したいのかを自身で考え他者と協働し判断することが求められます。この間、生成系AIの急速な発展は、大学教育や学びのあり方自体への問いとして受け止めています。生成系AIの出力した情報についても、これまでの文献調査やインターネットでの情報検索以上に内容を検討、吟味し、その情報の正当性や妥当性を検証するプロセスが不可欠です。立命館大学では、このようなAIリテラシーの醸成に努めるとともに、新たなテクノロジーを適切に活用しながら、学び続ける主体としての学生を育成していきます。
 テクノロジーの進展を考えると、生成系AIの使用そのものを完全に禁止することは現実的ではありません。したがって、生成系AIの活用にあたっては、教育・学修の注意事項・留意事項として学生及び教員に向けて周知を図っていくとともに、教育FD(ファカルティ・ディベロップメント)として活用できる授業実践や教育モデルの提案など、本学の教育・学修支援センターと連携をはかり、学生・教員向けのサポートや情報を随時提供します。

※FD:本学では教育・学修支援センターを中心に授業・教育方法等を改善し、向上させるための組織的な取組を推進しています。

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