“将棋”で繋がる世界 女流棋士らが語る将棋研究会

TOPICS

  • 将棋研究会

  • CULTURE

  1. home
  2. CULTURE REPORT & TOPICS
  3. “将棋”で繋がる世界 女流棋士らが語る将棋研究会

“将棋”で繋がる世界 女流棋士らが語る将棋研究会

2019.09.02

 立命館大学将棋研究会は、全国の中でも強豪大学として認知され、これまで数々のタイトルを獲得し、レベルの高い学生らが日々練習に励んでいます。所属するのはアマだけではなく、女流棋士が多数在籍する全国的にも珍しいクラブです。
 今回、卒業生の香川愛生女流三段(文学部・2017年卒業)、北村桂香女流初段(産業社会学部・2018年卒業)と、武富礼衣女流初段(総合心理学部2回生)に伝統ある立命館大学将棋研究会の特徴や、大学将棋と女流棋戦との違いについてお話をうかがいました。

全国でも珍しい、女流棋士が在籍する将棋研究会

左から武富礼衣女流初段、香川愛生女流三段、北村桂香女流初段
左から武富礼衣女流初段、香川愛生女流三段、北村桂香女流初段

北村 私は立命館宇治高等学校から内部進学し、高校生の頃には何度か将棋研究会にも顔を出していました。当時からアマ強豪の先輩も多く、とても良い環境でした。

武富 私は佐賀県出身で、文芸入試(文化・芸術活動に優れた者の特別選抜入学試験)で入学しました。心理学は中学生の頃から興味があった学問で、勉強をしているという感覚よりも、楽しみながら将棋と学業に取り組んでいます。

香川 武富さんは別の取材で、心理学が対局にも活かせるかもとおっしゃっていましたね。

武富 まだ基礎的なところですが、日常生活や将棋にいかせそうな学びが多いです。

香川 将棋研究会のイメージはどうですか?

北村 香川さんはじめ、憧れの先輩がたくさんいらっしゃって、そのレベルに追いつきたいと頑張っていました。学年が上がると、今度は自分が経験してきたことを後輩にも伝えたりしました。

武富 大阪いばらきキャンパスに在籍する学生もつわものが多くて、空きコマなどを利用して将棋をしています。

学生将棋と女流棋戦の違い

香川 学生将棋を指してみてどうですか?

武富 とにかく強いですね。高校までは将棋部がなくて、部活動というのを経験していなかったのでとても新鮮です。講義が終わって何歩か歩けば将棋がさせる環境ですね。

香川 わかります。講義が終わったら部室へ行き、半分家みたいな感じでした。割とそのような先輩も多くて、10秒将棋以外にも、持ち時間が長い将棋も指していましたね。

武富 順位戦ですね。私は現在、参加できていませんが。

香川 学生同士でA級やB級といった棋士でいう順位戦のようなリーグ戦があって、A級にいれば全国大会の団体戦に出場できるんですよね。持ち時間が長い対局のと、普段の早指しとでは将棋もだいぶ変わりますね。

北村 私はゆっくり考えたいタイプなので、持ち時間が30分の順位戦は好きでした。なかなかA級にはあがれませんでしたが。

武富 女流棋士戦は2時間あるので私も長い将棋のほうが指しやすいです。たまに、感覚的な将棋(10秒将棋)をするのも好きですね。

大学将棋は、プロの棋戦とは違った魅力を秘めている

香川 本当に女流棋戦と同じ将棋なのですが、中身が違う感じですね。お二人が特に違いを感じたエピソードなどありますか?

武富 一番個性が出るのは対局の終盤だと思います。コンピューターでいうと最善の手ではないのですが、人間的にすごく嫌な手や、勢いが凄まじいときとか、すごくプレッシャーに感じました。

北村 200手続いた将棋を思い出しました。最後は引き分けになったのですが、3時間ぐらい指しました。決着がつかなかったので、また再試合でしたが。

香川 立命館大学将棋研究会は、高校の将棋大会で全国上位の生徒が集まるので、やっぱり強いです。そして、少なくても高校年代で全国優勝している先輩方が大学でも活躍していて「勝ちグセ」があると思いました。女流棋士は1日に1局しか対局しませんが、アマチュアの大会で優勝する人は、1日に10局ぐらい連勝するので1日のたいがいは白星で埋まっています。そういう自信がある方も多くて、そのオーラに勝つのは大変でしたがアマチュアのトッププレーヤーの中で活動した経験は刺激になりました。

武富 大学将棋は楽しいので、指しやすいです。さらにレベルアップするためには、将棋が始まったら練習将棋でも全員が全力でさすという意識になれば、もっと濃密な時間が過ごせると思います。

香川 やっぱり緩急が大事なので、楽しむときは楽しむ、大会が近いときは真剣な空気を作り出すという「切り替え」を上手に行うことは大事ですね。しかし、将棋研究会は3キャンパスに拠点があるので空気感がキャンパスごとに違うかもしれません。ですが、4年間一緒にいる仲間なので、どんどん良くなるといいですね。

空気感が違う団体戦

北村 大学将棋といえばやはり団体戦だと思います。特に夏の富士通杯と冬の王座戦で、私は団体戦の空気感が好きですね。応援に行くのも好きでしたし、そのような経験ができたのはよかったです。

武富 初めて自分の所属する大学の団体戦を見に行って、個人戦とはまったく違う空気感がありました。自分が負けたらチームに響くので、一人ひとりが大学を背負って、一生懸命に指している姿をみると良いなと思います。

香川 なんかこう青春感がありますよね。女流棋士はアマチュアの大会なので出場できないのですが、普段一緒に研究している仲間たちが頑張っている姿を見ると励みになります。

武富 団体戦の雰囲気も含め、皆が仲良く切磋琢磨して棋力向上に努めている姿を見ると、私も刺激になります。私は将棋を仕事としているので、益々将棋の魅力を伝えてくれています。


 プロとアマの違いはありますが、将棋研究会には全国から集まる将棋愛好家が“将棋”を通して切磋琢磨する日常が広がっています。今後益々の将棋研究会の活躍に期待です。

ページトップへ