2024年04⽉13⽇(第3402回)

新興技術は国際政治に何をもたらすか ―AIのケーススタディ―

上智⼤学総合グローバル学部 教授 ⿑藤 孝祐

 今日の国際政治において、各国が「重要・新興技術」をいかに育て、守るかという問題に大きな関心を寄せるようになっています。それは一方で、伝統的な軍事技術・産業技術の競争のようなかたちで展開されるという特徴を持っていますが、AIや量子情報といった新しい技術の登場によって、そもそも技術の「何を」「どこまで」規制しなければならないのか、ということ自体も問われるようになっています。それと同時に、先端技術の開発が必ずしも国・政府の主導によってのみ行われるのではなく、広く民間セクターの技術開発能力に依存して、あるいは国をまたがって展開される側面が強くなっていることも大きな問題です。これによって、「誰が」技術を管理するのかという、いわゆる官民の関係を問い直すような政策課題も改めて生じています。本講演では、とくにAIをめぐるトピックにふれながら、技術開発や規制のあり方をめぐって生じている今日的な国際政治上の摩擦について解説していきます。