2024年05⽉11⽇(第3403回)

「政治・選挙を理解する」を問い直す― 知的障害者の投票⽀援の視点から

京都産業⼤学外国語学部 准教授 ⽴命館⼤学⽣存学研究所 客員研究員 堀川 諭

 障害があろうとなかろうと、選挙で投票することは日本で18歳以上のすべての国民に認められた権利です。しかし、投票制度や選挙時に提供される立候補者・政党の情報に目を向けると、誰にとっても投票しやすい環境が整備されているとは言い難い状況であることが分かります。とりわけ高い壁に直面している知的障害者がどのような困難を抱えているのか、また、そうした困難をできるだけ解消するためにどのような先進的な取り組みが行われているかを説明します。そして、知的障害者の投票について考えると、「政治・選挙を理解する」とは何を意味するのかという問いに行き当たります。何をどこまで理解できていれば、投票するにふさわしい状態と言えるのか。そもそもそのような判断の仕方は妥当なのか。立候補者の人柄や容姿をもとに投票先を選ぶことは不適切なのか。さまざまな観点からこれらの問いに対して検討を加え、民主主義社会について、また、「インクルーシブ社会」について考える機会にしたいと思っています。