「思い出たくぼ」試作品

2021.03.24 TOPICS

“新たな終活・お墓のあり方”への一提案 半永久的二次元コード(POROUS CODE)を小型墓石に応用

 道関隆国・理工学部教授の研究グループは、浦部石材工業有限会社(滋賀県犬上郡豊郷町)との共同開発により、半永久的二次元ポーラスコード(以下、POROUS CODE)(※1)を彫り込んだ自宅用小型墓石の製作に成功しました。QRコードを読み取るように、墓石表面のPOROUS CODEをスマートフォンで読み取ることで、故人の写真や、音声を含む動画が保存された「思い出サーバー」にアクセスが可能になります。このPOROUS CODEを応用した小型墓石は、終活を進める方や自分らしいお墓を求める方にとって、新たな提案となることが期待されます。

 POROUS CODEは、道関研究室が2019年に開発した技術で、紙以外の木板や金属板などに二次元コードを埋め込むことができるため、屋外等での環境下でも劣化しにくいという特長があります。
 浦部石材工業有限会社は、明治15年から続く、滋賀県の石材店です。近年、モノや資産を整理しながら、ライフスタイルを見つめ直し、この先の人生を実り多いものにするための活動、いわゆる「終活」を始める人が増えています。同社は、現代のライフスタイルに合わせた新しい供養のカタチとして、納骨場所を自宅に設け、日常の中で故人をしのぶ小型墓石「たくぼ(宅墓)」(※2)の提案・開発を行っています。

 道関研究室は、2020年11月に同社とPOROUS CODEの実用化に向けた共同開発をスタートしました。検討と検証を重ねた結果、30~40分程度で「たくぼ」にPOROUS CODEを彫り込むことができるようになり、実用化の目途が立ちました。
 道関研究グループと浦部石材工業有限会社は、このPOROUS CODEを搭載した自宅用小型墓石を、「思い出たくぼ」と名付け、2021年度中の商品化を目指しています。

(※1)POROUS CODE(ポーラスコード)について
高周波セルと低周波セルで直径1mm程度の微小穴を用いた、半永久的二次元コード(POROUS CODE)。本二次元コードに用いる技術は、5つの微小穴で構成した高周波セル“1”と無穴の低周波セル“0”から構成されています。微小穴をカメラで撮影すると光の影により、カメラは微小穴を黒いドット(高周波画像)と認識し、情報を読み取ることができます。実験では、照度60~60,000lx(太陽光下)の広い範囲の明るさで読み取ることが確認されており、読み取りに必要な光の影は、外乱光の影響を受けにくく、さまざまな環境下で安定して読み取ることが可能です。

(※2)自宅用の小型墓石「たくぼ」について
小型墓石「たくぼ(宅墓)」は2015年3月に浦部石材工業有限会社から発売されました。浦部石材工業は、明治15年から続く滋賀県の石材店で、創業以来、滋賀県湖東・湖北地域を中心に、お墓、墓地整備から参道、鳥居などの寺社・仏閣の石工事や、造園石材、記念碑・モニュメントなどの建築石材まで石に関するあらゆる案件に携わっています。2003年に浦部弘紀氏が代表取締役に就任後 、新しい供養のカタチとして、納骨場所を自宅に設ける小型墓石「たくぼ(宅墓)」の提案・開発を行い、現在の販売に至っています。

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